久保田の最高傑作か?
[2001/12]

小耳に挟むレベルの話を総合すると、どうやら久保田は活動の場を日本に戻すらしい。ドラマの主題歌を歌うことが決まっているとか、本人自身も日本の魅力を再確認しつつあるらしい。確かに久保田の性格的に和食なんかなくてもアメリカでやっていけそうだし、だからこそ友人関係としてこれだけのプロデューサーがついていると思う。その関係を築けたからこそ、これだけのアルバムの出来になったのは確か。某アーティストのように、いくら金を詰んで超有名プロデューサーを呼んで来ても、実際手抜き度高いと思うんだよなぁ、ホント。日本で通用するかもしれないけどさ)

このアルバムについてはこっちで紹介しているし、歴史に残る=R&BチャートNo1までホント、後1歩だと思う。けど同時にこれが久保田の最高傑作かも、、、とも思っていたんだよね。だから、久保田のその話を聴いて妙に納得したのも事実。という事で、ここでそれについて書いていこうと思います。
あっちでも書いたようにLa La La Love Songはホントにいい曲だったと思う。けど、それで全米No1が取れないのが今の日本の現実だと思う。世界的な音楽環境(アメリカ中心なんだけど)から見ると、日本の位置付けってあまりよく無い。誰がどう見てもUKの方が上。だから、こんな喩えは好ましく無いと思うけど、韓国や台湾のアーティストが日本でNo1をとるのが難しいのと同様の問題なんだよね。曲が良くても、誰が歌っているかってやっぱり有形無形に作用すると思う。

音楽市場としては確かアメリカに次いで大きいのにね。言葉の問題があるのは分かってる。けど、本当に国として色気があれば、それを超せるのはアジアでHITするのを見れば分かるジャン。現在なんだから世界市場と個人しかないという考え方もあるけど、やっぱり思考のベースになっている国という枠組みだとは思う。

別にコムヅカシイ問題をコムヅカシク考えるつもりは無いけど、やっぱりこの国は未だに国として異様なのだし、それが最終的にここら辺で響いてくるとは思う。正常な国の形に軍隊は必要だとは思うけど、イキナリ自衛隊をとかは全然思ってない。もっと大事なコトとして軍隊を使用する責任所在の問題でしょ。それをアジアの国から疑われているのだから、今の日本の微妙な立場がある。

こんなの音楽に関係無いって言う人いると思う。そりゃ聴く側にとっては関係無い。歌う側にとっても関係無いハズ。けど、現実はそうなってないよ。最近ここら辺を考えていくと、どうしてもこっちの話になる・・・それ位、やっぱりショックなんだよね。このアルバムがR&BチャートNo1にならない事が。。このアルバムで全米No1をとれないなら、日本人がR&BチャートNo1を取るのは後二十年は不可能だと感じる。

じゃあ、完全に無理かといわれると、過去に一曲だけあるんだよね。全米No1をとった坂本九の「上を向いて歩こう」が。それと対比させて考えると、色々浮かんでくる。
  • くよくよするなよ、気楽に行こうぜ
  • 上を向いて歩こう、涙がこぼれないように
Till She Comesを聴いて思うのは、これが久保田の志向性という事。"No No No Take it Easy"という台詞が。それと坂本九の「上を向いて歩こう」のサビとを比べてみる。実際、個人的には差が無いと思う。最終的には物事の捉え方の違いなのであって、もし自分が辛い時に言って欲しい台詞としては両者ともありだと思う。それに「くよくよするなよ」ってのは決まる時は、かなりイイしね!

けど、けどやっぱり「上を向いて歩こう」の方が深いと思う。そして、このレベルを持って来ないと、未だ日本人はR&BチャートNo1は取れないのだと思う


どうしても「くよくよするなよ。気楽に行こうぜ」は友達以外に言われても、「ふざけるな」としか思えない。その点で、「上を向いて歩こう、涙がこぼれないように」という台詞は誰にでも伝わる。逆に友達には「くよくよするなよ」って言って欲しいよ。やっぱり、そりゃそうでしょう。二人で上を見ても困るもん(笑 だから差が無いと思う。けど決定的な差がある。それは普遍的という場所に1番遠い国のくせに、そこそこ成功してる日本に住んでると見えない気もするし、突き詰めなくても回っていくとは思う。だからこそ、ある意味において日本は甘えているのかもなぁ。内側で勤勉に努力しているのだとしても。

あまり細部は知らないけど、終戦直後なんだよね?あの歌は。すると生まれた理由も良く分かる気がする。友人に伝える以上の、全く知らない人を振り向かせるだけの言葉は何処から生まれるのだろう?と思う。それがちゃんと分かったら、このHPももっと綺麗になるのに・・・。未だ自分は良く分らない。自分が分かってるのは体感的な事であって、未だ言葉に出来ない。ただ、R&Bが無かったら無理だった。それは断言できるけど、その理由は本HPで説明できてるかなぁ、、、
久保田のこのアルバムは、NoNoNo Take it Easyから始る訳で無い。彼の勝負心に普遍性があるから、そこから親近感が生まれて・・・そこまで行けば彼のNoNoNo Take it Easyは輝き始める。けど、このアルバムにちりばめられている勝負心が生みだす曲は結果としてHITにならなかった・・・その事実が、やっぱり自分には哀しいんだよね。


はっきり言ってタイプは違う。だから、日本にいた頃の久保田にはどうしても合わなかった。けど、やっぱり僕はちゃんと「くよくよするなよ」って言った事ない。逆に自分が持ってる解答を見せていたのだとも思う。それの普遍性について妙な自信を持ってたから。「くよくよするなよ」なんて、答えを知らない人の逃げ口調だと思っていたから。だから余計に傷つけていたんだと思う。友達だろうと彼女だろうと。このアルバムを聴きこむと、「ああ、あの時、自分はそう言えば良かったんだな」 って後悔する。それ以上をしようとして、結局それより遥かに下の事をしてた。 この歳になってやっとこんな基本的な事が分かったよ。

この親近感って、ホントの事言うとアメリカ本国のこっちタイプの歌手から感じたこと無い。
やっぱり久保田が挑戦したからこそ接点が生まれて、それで教えられたのだと思うから。

そんななんなです。表題はそんな意味では間違っているよ。彼はこの先も、もっといい歌を歌うと思う。

本当の勝負に勝ち負けは無いと思うから。
負けという事実から生まれる価値があると思うから。


 
どんなタイプのアーティストでも、誠実に向き合って本気で頑張れば、
R&BチャートNo1を取れる
現時点で日本のR&Bアーティストが置かれている状況は残念だけど違う。それをこの久保田のアルバムを聴いて痛感した。人ってそれぞれのタイプがあるし、それは直すものでも直さないものでもないと思う。「どうしようもなさ」は誰にでも死角のようにあるし、そこからホントの意味でのその人らしさが生まれるのだし、その為に1歩ずつ歩くのだから。

Nothing but a loveを聴くと、確かに久保田は高みに辿りついていると思う。だからこそどんなタイプの人にでも訴えかける力を持ってる。彼はやっぱり友人になって楽しいタイプだと思うから。けど、アフリカン・アメリカンと日本人は友人という関係じゃない。だからこそR&BチャートNo1を取れなかったのだ。それはアーティストだけの問題じゃないと思った。

自国のアーティストがこれだけ頑張っている時に、どっぷり浸かっている僕らが「ああダメだった」なんて傍観するのはやっぱりオカシイと思うや。このアルバムをR&BチャートNo1に出来ないのなら、やっぱり何か間違ってるよね。せめてUKぐらいの位置付けは狙うべきだし、そこに向けて頑張っていくべきなんじゃないかと思う。体的に何をすれば良いのかがまだ良く分らない。当面の目標が日本発のR&Bの賞だとは思うけど。実際出来る事はIII From the SoulやAndrea Martinをbmrが押してたような形になるのかなぁ。

結局は、「日本人はR&Bのどんな所に惹かれているのか」という点を明確にする事から始めなくちゃいけないし、その為には同じ日本人でちょっち興味がある人にちゃんと伝えれるのが第1番目だよね。何故か良く分らない割にはやっぱり自分はマイナーでいいと思ったし、周囲が誰一人知らなくてもR&Bを聴きつづけると中3の頃に思った。それは体感的な事だけど、今でも間違ってなかったと思えるから。それをどれだけ言葉に出来たかなぁ? 言葉にはしてるけど、伝え易くしてるかどうかはかなり自信が無い。書きなぐって終りだもんね。これから直していかなくちゃ。

今までは自分から見ても敷居が高いのか低いのか良く分らなかった。Fuckin'的なノリとしてはかなり入り易い世界なんだけどねぇ「ねーちゃんもにーちゃんも腰振ってるよ」ってノリなら(笑 けど、それ以上に意識的に1歩踏み込もうとしたら、高かったってのが素直な感想だなぁ。「Soulってのは分る奴が分ればいい」

よりDeepな人達がそう思う気持ちは分かったけど、そろそろそんな時期じゃないよね。自分はよりDeepな人達には、「《近さ》だけに依存するのは答えとしては2番目だと思う」というスタンスだし、ちょっち興味がある人達には「ぜひぜひ聴き込んで核に触れてください」と思う。そんなスタンスです。これを頑張れば1歩近づける事になるのかなぁ、、、それは良く分らない。

けどやっぱり、このアルバムはお勧めです。それは声を大にして言えるよ。そっからだね。


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