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手に入れた成功の価値と虚しさ その本当の意味は何処? |
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[2002/01/31]
MaryJ.の"My Life"は彼女の本質的なキャリアの出発点でもあり、同じ境遇の女性を救える力としては、過去の偉人の作品にも負けないレベルであるのは確か。だけれども、残念だがR Kellyのこの作品は同じ境遇の男性が根本的に少ない。そりゃ彼ほどの境遇から彼ほどの成功を収めた人なんて、世界中で探しても僅かでしょう。何よりも最初にエロ路線を突き進んだ事が悲哀さのコントラストをより深くしてる。だから、このアルバムは誰も救えないし、誰の手にも届かないと思う。って、そこまでR Kellyは分っていて作ったのだろうけど・・・ そうであっても同じ男性に僅かでも伝えようとして、その結果としての"When A Woman's Fed Up"が色んな意味で成功を収めたのはホントに良かったと思う。けど"Down Low Double Life"はそこまで注目されてない気もするのだが、、、このアルバムの中でも1番ぶっ飛んでるのは"What I Feel/Issues"でしょう。こんなのは歌でも何でも無い。けど内面ってのは最終的には叫びだけになるというのをダイレクトに伝えてくれると思いマス。 「これだけ色んなフェーズの曲が詰まったアルバムからどんなR Kelly像を切り出すか?」はリスナーの一存になっていると思う。自分としては、同じ裸としてKeith Sweatの"Still in the Game"と、成功と挫折としてTommy Simsのあのアルバムと並べて聴くと、1番このアルバムの性格が浮かび上がってくると思う。 方向性を絞り込んでいるKiethのあのアルバムは、最後の余地として歌詞でひねってる。対比させて、このアルバムはわざとゴッタ煮にする事で最後の余地を残してる。その両者のアプローチの結論として、R Kellyのスタンスが受け入れられたという事だろう。けど、声の表情から追っかけて行くと同じ位に二人とも裸だと思う。それ位に両方とも今までのエロ路線とは正反対のアルバムを製作してると思うから。 R Kellyのベストトラックがこの二枚組みの中に納められて入るのは間違い無い。2000年には"TP-2.COM"が発売されたけど、やっぱりこれらのトラックを越す曲は無かったと思う。"When A Woman's Fed Up"よりも個人的に気に入っているのが"Looking For Love"。彼が本当の所で何を求めていたのかが1番伺える曲だと思う。物事の意味は評価軸に依存するし、その評価軸は一つじゃない。"Looking For Love"の軸から見れば彼の手に入れた物は全て無意味。けど、彼の育ったシカゴの最下層からみると、塵一つの文句も無い。結局、いつだってR Kellyはこの間を振り子の様に行き来してるね。それを共有する事は出来ないけれど、上のようにR Kellyが望むことは全て可能だとは思う。それ位には意味のあるアルバムじゃないかな。 他でも書いているように、彼が自身の成功をどように受けとめているかが1番ダイレクトに伝わるのが"Did You Ever Think" 悲しんでいる訳じゃないけれど、喜んでいる訳でもない。最終的には哀しみだけになってるや。"When A Woman's Fed Up"も。この曲も本人自身に近すぎて、絶対にシングルカットはしないと思っていたのにね。この曲も見事シングルカット。あれには本当にびっくりした。結局、人は最後の最後まで志向性以外を作り続けることは出来ないんだね。その事実はやっぱり嬉しかったな。 突き詰めて行けば、このアルバムの全ての曲でR Kellyは泣いていると思う。その泣き声の大きさが違うだけのような気がしてくる。個人的な意見としてはLooking For Loveは結婚ソングにイチオシだね。 全く、R Kellyがこのレベルまで扉を開くとは想像だにしなかった。結局、これを歌う為の今までのエロ・ソングだった気もしてくる。 そしてTommy Simsと対比させると、結局はエロが出来るかどうかになると、かれこれずっと思ってる。音楽に対する才能としては両者ホントに最高レベルだと思うから。で、突き詰めて行く程に、二人は同じタイプだと思うから。「悩み苦しむその深さが成功の大きさを決定する」とR Kellyは語ってる。確かに成功した時の大きさは悩み苦しんだ深さだとは思う。けど、成功するかどうかは悩み苦しんだ深さとは関係無い。もちろん運でもない。これが最近の自分の結論。Tommy Simsがどれだけ悩み苦しんでるかはあのアルバムでホントダイレクトに伝わるもん。すると、唯一の違いはエロが出来るかどうか?なのだけど、じゃあエロとは何なのだろう? もちろんエロというのは真の答えじゃない。真の答えは「誇り」なのだと思う。R Kellyは自身の成功に誇りを持ち得てないんじゃないかな。だからこそ、これだけ混乱したアルバムなのだと。対比させて、Tommy Simsは明らかに誇りうる立場にいる。R Kellyは成功を掴む過程で誇りを保つ事は出来なかったのだろう。もし誇りと成功が両立しているならば、彼は素直に自身の成功を見せれると思う。Tommy Simsのアルバムに唯一の違和感を訴えるならば、「貴方は成功よりも誇りを選んだんですよね」になる。 そして、両者の本当に伝えたい事が、、、人々に伝わった質と量から比べると、結果として同じなんじゃないかとも思えてくる。もちろんTommy Simsが誇りを選んだ訳でも、R Kellyが誇りを捨てた訳でもないと思う。Tommy Simsは自身に誠実に音楽と接していただけであって、それは「誇りを選んだ」と卑下する話では絶対にない。そしてR Kellyは誇りどうこう以前の境遇だったというのも事実なのだろう。 結局、手に入れた成功の価値と虚しさは「誇りの無さ」に根ざしていて、その本当の意味は「このアルバム」だと思う。R Kelly自身もこの二枚組みを1枚に削り込む事は簡単に出来たと思う。それをこのゴッタ煮状態のままにする事が彼の最後の甘えだろうし、逆から見れば純度の高いTommy Simsのあのアルバムも彼なりの甘えともいえるんじゃないかな。Tommy Simsは保ちつづけた純度の高さを分って欲しいのだろうし、R Kellyは抱えてきた泥を分って欲しいのだろう。 昔、と言っても自分のR Kelly像が出来あがった後に、[12Play]の"Sex Me"のビデオクリップを見たことがある。凄かった。そして今見ても凄い。何が凄いって、全てを抑えてる面なんだよね。何処にも現在のR Kellyを伺わせる面が無い。唯一はグラサンだね。あの黒いグラサンの奥で、彼は一体どんな瞳で歌っていたのだろう・・・ | ||
[2003/12] ま、ま、まじですか。Kellyさん踊ってるよ!!! 以外とうまいじゃん。び、び、びびった。バスケ選手を目指してただけのことはある体のキレ。 R KellyのDVDを買いました。3000円くらいで今までのPV集めたDVDを出すのは今後とも続けて欲しいものです。それにしてShe's Got Tha VibeのPVが見れるとは思わなかった。まったく、スカパーに10回はリクエストだしたのに1度も流れなかったからなぁ。吼えてるよぉ。かっくいいじゃん。グラサンもしてないし!!! これは必視間違い無し。いやーこのPVみてると「ばばばばーいぶ」ってついつい言ってしまうなぁ。Honey LoveのPVもあるってことはシングルカットされてたのね。お、この踊りはPAのあれといっしょじゃないですか。ちょうちんあんこみたいなヘッドライトがかなり謎。 Step In the Name Of Loveで随分と薄い色のグラサンになってる。クラシックダンスは下手なのね。それとも歳とってお尻のあたりが太ったのかな?あんまり若者には魅力的じゃないPVだけど、これが今のR Kellyなら、いい歳のとりかたしてるネ。 ってもちろん一番のお勧めはWhen Woman's Fed Up。このPVを二十歳の終わり頃に見れたのはホント幸せだった。6万だしてスカパー入ってホントに良かった。何がイイって、夜中に抜け出して男に会いに行く奥さんの後を、男友達とついついつけてしまうダメ男のさがかな。あのまぬけな帽子?がより悲哀感を醸し出してる。途中で見失って、あとはあても無く街を車で徘徊してるのも凄くいい。曲の最初に鏡を見詰めるのもPickin' Apartだしさ。最初に外に向かって注意したあとに、思いっきり窓を閉めたらガラスが割れる。その時点で傑作PVだよ。歌詞の「れこぷれい」の部分での身振り、これかなり要チェックです。あと机蹴飛ばしてる「がってむ」のポーズも好きで好きで。 って、このPVをリピートしまくってても結果がFedUpになったのは変わらない。ただ、マジで注意しなくちゃいけないのは教えられた。当然、それだけで直るほど甘くは無かったけど、寿命は延びた。 ということで、一家に1枚必要なDVD、若い人も食費削ってでも買いましょうw VCレビューはこちら |