Usher
"usher"
かなりのオサナ・ナイーブ
[2002/04/21]

Usherは本HPでちょっとイジラレ役です。そりゃTyreseと比べたらなぁ。って、もちろん嫌いじゃありません。おおっぴろにファンというのをためらっちゃうだけです。たまたま中古屋で見つけたら、すかさず買っちゃう位には好きだよ。「コケタ処女作」ってのは知ってたので、かなり期待マンマンで聴いたのですが、びっくりびっくり。かなり気に入りました。個人的には全作品の中で1番です。

この頃はUsherは14歳位なのかな?中学生なのは確かだと思う。「ホント歌が上手いなぁ」と素直に思う。確かにアポロシアター組だよ、これは。中学生なのだから歌にこめる想いも大して無いのだけど、歌の上手さがあるので、込められた想いを少ないとは思わない。少年歌手?としてTevin Campbelと比べても、より気に入った。歌の上手さとしては同じだと思うので、「Usherの心情が気に入った」

とハッキリ言うとちょっと恥ずかしいがw、結構「やるせなさ」を表現してると思う。この歳でこの作品というのはかなり誉めていいと思う。アクティブな色気も大ヒットに繋がる曲もない。そこら辺では統括者(La FaceなのにPuffyがEx-Produder)が失敗したという事かな。けど、この作品見ればUsher自身は何も悪くないぞ。
結局の所で、

普通の人の素直さは誰も求めてない
こういうと怒られる気もするけど、やっぱりこれは事実だと思っちゃう。素直な作品は有名になった人の特権だとも。イイ意味での尖がりが無い。チャートを駆け上がるような色気がない。そんな点では2作目の方がいいと思う。けど、2作目,3作目の作品でUsherを気に入った人にはかなりお勧めできる。正面顔のジャケットのワリには(写真家が下手なのか)映りが悪いし、全体的に丸い顎だったりもするけれど、そんな映りからは想像出来ないようなナイーブな世界です。裏ジャケを見るだけでも、イイポーズしてるよ。

って、この先、このナイーブさを突き詰めて、琥珀まで持っていける様なドライブは感じないんだけどね。心情を圧縮して硬化させるような「泣き叫び」がない。けど、このナイーブさは客観的に見て多い。ここら辺がUsherの井戸の底だと思う。これからも歳をとるたびに、少しずつUsherは此処から汲んで来るのだろう。そんな意味でもファンは必聴のアルバムです。

同じく処女作がコケタJoeのアルバムと比べても、この作品の方を気に入った。3曲目のCan U Get Wit Itから、「お、これがUsherの処女作か」と思わせる手触り。ついつい鼻歌モードになってしまうぞ。この方向性でHITしようと思ったらShaiくらいには突き詰める必要があるからなぁ。そんな点では惜しかったね。

エロ・イケイケ路線の方が楽だからなぁ。こっちの路線は一人前になるまでに時間がかかる。けどThank Youコメントがあるページの写真を見ると、歳不相応のナイスな笑顔をしてる。彼のことをずっと単純だと思っていたけど、違ったね。この笑顔は久々のクエスション・マークです。30歳以降なら妥当な笑顔だが、これを14歳位なんだもんなぁ。アポロシアター優勝という快挙をイイ方向に使ったから生まれた笑顔かもね。松脂のようなエゴとは正反対で、何故か今よりも大人っぽい。大したモンです。

9曲目のInterludeからはこの志向性で畳み込みをかけてくる。恐るべきオサナUsher。そんな意味では結果として売れなかったけど、好プロデュースかも。このナイスなオサナ心情が、売れなかったショックを受けとめて、2作目のペルソナになったんでしょ。かなりびっくり。よくここまで変わったもんだよ。その過程が1番見たい気もするや。

久々に、「若いってのはイイ事かも」と思わせるアルバムです。色んな可能性に満ちていて、ある方向性で失敗しても、自身を変えていける。

"You Took My Heart"を聴くとナイーブさを突き詰める志向性というよりも、一段下がった後は横に広がるタイプの気もする。イイ曲だと思う。単なるガキじゃ歌えないレベル。今までのUsherは「売れたら買う」「微妙にケナしちゃう」ってな位置付けだったけど、このアルバムを聴いた後では、かなり今後が楽しみなアーティストになりました。"Smile Again"を聴くと、ちょっと後頭部がジーンとしてしまった。まったく、このフェーズの曲をここまで歌い込めるとは、恐るべきUsher-スマイル。最後にUfooFoと吼えるのにもやられたぞ。"Final Goodbye"もトーンが低いミドルで、こんなタイプの曲はかなり好きです。

今まで、「Usherは30歳の壁を越せるか?」って見方だったけど、これなら間違いなく可能だろう。そう実感したアルバムです。という事で、Usherには「オサナ・ナイーブ」をプレゼント。今のアホ路線も嫌いじゃないけど、そろそろこっちに戻ってきてね、期待してるぞ!

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