Stevie Wonder
"Hotter Than July"
理由は一生やってこないけれど
[2005/04]
 
もうすぐStevie Wonderの新作:A time to Loveが発売されるので、色々と彼の作品を集めてます。19の頃にBestを買って、2001年の2月かな、Innervisionsをかなり聴きこんで、Songs In The Key of Lifeも買った。Innervisonsは聴きこめた体感があったし、Key of Lifeもそこそこ行けたし、Stevieに関しては一段落したと思ってた。けど、やっぱり新作発表前にもうちょっと彼のアルバムを聴きたくなった。

[2005/03/27]

そんななんなで、たまたま中古屋で見つけたMy Cherie Amourを買いました。タイトル曲は超有名だが、他の曲も結構いい。声がかなり若くて、アルバム全体が若さに満ちてる。びっくりしたのが5:The Shadow of your smile メランコリックな曲だけど、Innervisionsよりも底にいる感覚がなく、女性に対する気持ちが心の低音部分から伝わってくる。ベストには選ばれな いタイプの曲だけど、こういう曲が聴き込むのには大事な気がする。

ベストにもあるyester-me,yester-you, yesterdayもこのアルバムの若さの中の方が輝いているや。10:Angie Girlって、えーーAngieって固有名詞じゃなかったの??辞書に載ってないぞ。この曲のI Love Youというフレーズはかなりナイス。ベストに選ばれてもいいんじゃないかな。今まで聴いた彼の曲の中で、一番誰もが入れるI Love Youだと思う。次の11:Give Your Loveもいい。重くなったバックの上で、声にリアルさがある。Innervisonsが重過ぎるという人には丁度イイ感じのアルバムだと思いました。

出張帰りに渋谷のSam'sレコードに行ったら、Stevie WonderのHotter Than Julyに「もってなきゃ恥」と書いてあって、買ってしまったです。Latelyが収録されてるなら買わなくちゃ。

当時の大ヒットらしい6:Master Blasterはベストで聴いた気がする。その時はあんまり印象に残らなかった。本作を聴きながら、Hit曲をイキナリ好きになるには以下の4点のどれかを満たしていなくてはいけないと、改めて思った。(もうちょっと他の基準もあるかもしれないので、本基準は今後とも改善していく予定)

1. Hit曲親和性がある
2. Hitしたという事実で素直に聴き込める性格をしてる
3. その当時の時代の気分に親和性がある
4. その曲が伝える感情に親和性がある

この時点で、1,2がオレッチに無いのは一目瞭然。3に関しては80年代の明るさは合わないなぁ。4に関しては、自分に合う曲はなかなかシングルカットされないし、されてもヒットしない事が多い。 けどアルバムを買って聴き込むと、その当時の匂いが伝わってくるから。3.が満たされるようになる。大ヒットした曲ほど、その時代の気持ちを掴まえてるしね。アルバム全体で聴くことで、その曲がもつ感情に慣れてくる面も大きい。いきなりその感情を切り出されても合わない事もあるけど、アルバムの中にステップがあれば、その感情まで到達できるから。

Songs in the Key of Lifeも結構好きだけど、がつんと来たのはInnervisions。特にGolden LadyとAll in love is Fairです。ここまでガツンと来るのはLatelyを入れて合計3曲だろうと思ってたし、それで良かった。けど、本作の中の3:Rocket Loveは同じだけくる。この曲はInnervisionsのDeepな曲に凄く近い。ノーツを見ると岩間氏が「ピカソ、シェイクスピア、バッハ、ブラームス」といった偉人たちの名を引き合いにだしての失恋ソングと書いている。なんで自分はこんなに失恋ソングが好きなのか、、、それはよく分らない。ここまで来たら、「失恋ソングが好き」と認めてしまった方がいい気がする。延々と繰り返して聴いてると、そんな気分になるんだよね。この曲にはイイ意味での開き直りがある。それがInnervisionsとは違う。そこに無性に惹かれてる。

「イイ意味での開き直り」が具体的に何なのか上手く説明できない。けど、Innervisionsがタイトル通りの「内への志向性」なのに対して、この曲はRocketと言う通りの「外への志向性」がある。それが凄く新鮮です。そんな感情を未だにちゃんと持った事が無いから、相応しい言葉が浮かばない。今の自分の精一杯が「イイ意味での開き直り」なんだよね。


方向を変えて、9:Latelyについて。
他の2曲が腫れ物扱いなのに比べて、本曲だけは隠れ名曲になってるから。その理由について考える。

他でも書いているように、この曲を始めて聴いたのは、Sony MTVで見たJodeciのアンプラグドのPVです。 K-ciが上半身裸で吼えまわってるのが凄くカッコよかった。彼らの2ndにはアンプラグドじゃないLatelyが収録されたけど、曲のパワーが落ちてるから嫌いだった。やっと中古でアンプラグドを見つけた時は嬉しかったな。その当時から歌詞も好きだったけど、19の時に元歌を聴いた時はStevieの淡々とした歌いっぷりが怖かった。

それから何年かして、やっとこの曲の意味が分ったと思う。K-ciは吼えまくる歌い方で、その焦点を 歌詞のI vaguely heard you whisper someone's nameという部分にあわせてる。確かに、夜中にふっと起きたときに、隣で他の異性の名前をつぶやかれた日にはねぇ、、、あれだけ吼えるのも当然か。彼らの2ndのFee Fie Foe Fumはストレートにそんな曲だしね。けど、Stevie WonderはサビのWell I'm a man of many wishes, I hope my premonition missesの部分に焦点を合わせてると思う。

この言葉がもつ率直さが人の心を捉えるのだろう
それがはっきりと分ったのは、自分もそうなんだと痛感した後かな。男だろうと女だろうと 終わった後にI'm a man of many wishesと認めるのは辛いと思う。終わった直後に作られたのがInnervisionsで、このアルバムはそれから何年も経った後に出来たのだと思う。Stevie自身でさえそれだけの時が必要なのだろう。僕もこの曲がなかったらずっと認めれなかったのかもね。

この部分を見るたびに、なんか宮沢賢治の「注文の多い料理店」という童話を思い出す。かなりうろ覚えだけど、確か山猫がやってる料理店で、お客にやたらと注文をつけて、最後はそのお客を食べちゃう童話だった気がする。普通は注文はお客がするものだけど、その童話では店側がお客に注文をつけてた。「金属類は身から外してください」とかいった感じで。

その山猫は最終的に食べちゃいから注文をつけていたけど、なんでI'm a man of meny whishesなんだろう? なんで色々と注文をしてたのだろう? 自身の価値観を手放したくなかったから? 自身のエゴを満たしたかったから? 相手のためを思っていたから? その理由は色々と浮かぶけど、本人がする理由付けなんて言い訳と大差ない。結局の所で、many wishesがあったからこそ上手く行かなかった訳だから。

そんなmany wishesへの反省が、whisper someone's nameを越してる
だからこそ、この曲が隠れ名曲になったのだろう。Golden Ladyは祭り上げなくちゃいけないほどに夢を追い求めた事の無い人には、そしてそれを追い求める故に女性と終わった事の無い人には伝わらないと思う。All in Love is Fairは「自分は誰の事も本気で愛せないだろう」と思ってた人じゃないと、そしてその相手と終わった事のある人じゃないと伝わらないと思う。だから、この先、本HPがどれだけPushしてもメジャーにはならないだろう。Latelyが隠れ名曲になっているのは、many wishesと痛感した人が多いからなのかもね。そう言われると、素直に納得できるものがある。


Rocket Loveに戻る。感情の高ぶりがLatelyと正反対だと思う。そういうのは対として作られるのかな。裏ジャケではピアノが燃えてるしね。Hotter Than Julyというタイトルの由来は何なんだろう? 最後の政治の季節だったのかな。何よりもこのRocket Loveで伝えたい感情が分らない。歌詞を見ると、相手の感情の急激な変化に対する混乱なんだよね。けど、自分は「イイ意味での開き直り」を感じる。それはInnervisionsを聴き込んだ体感が裏打ちしてる。だから、これ以上は直感の方を信じて聴き込む。


終わった直後に歌うなら凄く納得するけど、それから何年経っているんだよ、、、って気分。本人が一瞬のRocketと言ってるからこそ逆に今まで悩んできた長さを感じる。けど、月日が経ってやっと言える事って確かにあると思う。終わった当初はそれ以外の問題に手が掛かりっきりだったのかもね。Latelyでやっと自身の非を認めたからこそ、「あの時の心変わりは何だったんだよ」って聞ける状態になったのかな。

この状態になったのが「イイ意味での開き直り」だと思う。きっとどんな答えが返ってきても彼は受け入れるのだろう。そんな幾百の可能性を見つめている気がする。そんな曲の導入部分だと思うから。歌詞ではストレートに歌っているけど、問い詰めてる感覚は無い。

どんな内容であっても、その答えをちゃんと聞ければ、受け入れて前を向く事が出来る
ずっと彼は心変わりの理由を知りたかったのだろう。この状態をもっとストレートに歌っているのがDru HillのGood Reasonになると思う。

こんな答えほど、相手は絶対に言わない
それもこの世の事実かな。このRocket Loveを聴いてると、Stevieはやっと「理由は一生やってこない」状態を受け入れたのだろう。それが「イイ意味での開き直り」なのだろう。

なぜ、開き直りになるかって?
相手からの答えを聞けてないから。その状態で気持ちを全部を閉じたから、開き直りなのだ。

なぜ、イイ意味になるかって?
今まで中で十分に見つめ直してきた実感があるから。それもLatelyを聴くと納得するんだよね。


本作を聴きこんで感じた「失恋ソング好き」について。
そんな奴いねーよ、と言いたいけど、結局の所、付き合ってる時は何かと理由をつけて先延ばしして、終わった後にやっと直すからだろう。失恋をしないと自分が直っていかないのは、心の奥底で認めてるのかもね。失恋ソングはその手前で教えてくれるから聴き込んじゃうのだろう。

I'm a man of many wishesの後は、直していくための失恋ソング
それがR&B-Lifeです。


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