R Kelly
"TP.3 RELOADED"
いつもの風景の中で一番牧歌的なこと
[2006/12]

Chocolate FactoryとHappy Peaopleが凄く良かったから、本作でアホなVC連作しててもファンは大目で見てたと思う。僕も発売当初に買って、数回聴いて後は棚の奥にしまってた。けど、今年はあまりに聴きたい作品がなく、しょうがなくTP2から聴き直すことにした。しかし、何度も聴いてもあれはパス・・・本作を取り出したのは11月も半ばになった頃。

1,2曲目は無理して聴いてたのに、3:In The Kitchenで気づいたんだよね。思った以上に心がこもってる。速度はMiddleだが歌いっぷりからUPにも分類できる。TPシリーズの常として、サビではSex in the Kitchenと吼えてるけど、なんていうのかな、前2作での傑作曲と声の表情が似ているんだよね。

彼がSexを歌い、これだけ真面目な顔が浮かぶのは初めてだ
いつもはグラサンかけてたからなぁ。12Playを流しながらする奴なんてほんとにいるのか?と昔から思ってた。「ああいう風に人を下に見てる作りはKeithのエロエロな曲と近い」と、かれこれ15年間感じてた。まるで、うちらを猿回しの猿みたいに扱っている曲。まあ行為中なんて他人からみれば猿かもしれんし、そういう曲を作る人は猿回しみたいな気持ちになるのもしょうがないかもしれないけど。なのにこの曲は真面目なんだよね。お気に入りのEtceteraは「イイコトしようよ」と幼い表情で訴えかけてたけど、こちらの曲は彼自身の真面目な押し気が見れる。それがいい。

これは買った当初に気づかないとなぁ、、と後悔しつつ聴いてたら、4:Slow Wineもイイと思い始めた。いつもと違う。R.と前2作の中間地点のような、いい意味で声に切実感が増えてる。5:Put My T-Shirt Onもふざけているようなタイトルだけど、歌いっぷりは真面目だ。

何よりも、聴こうとしているうちらをバカにしてない
それが大きく違う。彼が心から紡ぎだしたがっている情景のような説得力がある。曲の後半での歌いっぷりがいい。6:Remote Controlは本当にR Kellyが歌っているのか? 今までとは比べ物にならないくらいにボーカルが上手くなっている。まるで初めてマクナイトのlove of my lifeを聴いた時の驚愕と同じくらい。「ねぇ、これって本当にR Kelly??」と3人ぐらいつかまえて聞いてみたいくらいだ。これは確実に緑レベルです。

Come Closer to meから始まる曲は名曲が多い
なんとなく、ずっとそう思ってた。他の曲がすぐ浮かんでこないけど、歌手にcome closer to meと言われると、それだけでかなり距離をつめてしまう自分がいるのは事実。後半部分のpush push push UHHH UHHH UHHHが特にいい。曲だけ聴かされたらR Kellyとは分らないだろう。俺っちも一年前にこの曲だけ聴かされたら、「うぉぉぉー結構イイ曲じゃん。けど誰??俺はこの声は知らないぞ」って言ってたと思うから。そんなに目が曇る位にTrapped In the Closetとこのジャケが悪かったんだろう。この曲に相応しいジャケにすれば、前人未到の3作連続傑作だったのにね。ジャケのせいで評価が低い。けど、ここまで聴きこんで、本HPは傑作だと認定します。R.を傑作と推すよりは楽だろうから、あと数年すればきっとコンセンサスになると思う。

7,8はこのジャケっぽいから飛ばします。9:Touchin'のデュエット相手のNiveaのことは知りません。けど、AALIYAHとSparkleを足して二で割ったような声。これがR Kellyのど真ん中なのね。ちょっと苦笑してしまったです。まったくなぁ、こんだけ本人の好みを全面に押してくるとはね。そこら辺は進歩が無いというべきか? なら次回はNiveaの作品を総合プロデュースしてね。もう何年前から言ってるけど、それが一番大切だと思うから。

けど、本当の事を言うと、R Kellyをえぐる度合いでは、AALIYAHとSparkleの方が上だと思ってしまった。R Kellyが見せようとしている部分しか掴めてない気はする。Niveaはもう1歩伸びる必要があるかもね。


12:Sex Weedと13:(Sex) Love is What We Makin'が傑作なんだよね。この二曲は緑レベルでなく、太字にしていい。いやもっとハッキリ言う。自分自身の結婚式で流す(それをこの時点で決めるのは限りなく間違っている気がするが・笑) それ位に凄いし、感動した。


この2曲こそがSexに拘ったR Kellyの到達点
その彼が描く情景を、心から納得できるから

今年はマイケルにKeithに追加に色々と書いてきたけど、これが結論だと思う。確かに世の中には色々なSexがある。男と女の間に限定しても、色々なSexがあり、色々な基準がある。結局やることは太古の昔から変わってないのにね。「そこに何を求めるか?」 それが「何のために生きるか?」と同じくらいに色々と基準があるのだと思う。

傑作な作品として表現されるSEXって、やっぱり圧倒的な存在感を持つものが多いんだよね。本人が一生忘れられないような情景。けど、そういう圧倒的なSEXってのは、ギリギリの場面じゃないと生まれない。
自分自身がどんどん削れていくような感覚
時間は一瞬に向かって
人は核に向かって

不倫とか許されない恋の方が、そういう事が起こり易いとも思う。けど、やっぱりそういう形のSEXをする2人は絶対に幸せにはならないと思うんだよね。麻薬をしながらSexをすると二度と普通のSexじゃ我慢できなくなると言うけど、麻薬に頼らなくてもシュチュエーションさえ揃えば、似たような状態になると思ってる。そういう人生を賛美する作品は、音楽だけでなく文学など他のジャンルにも多い。けど、その道はあまりに失うものも多い。まず真っ先に普通の生活を捨てることになるから。

「心奪われ阿呆のような日が流れ」: 時実新子
あなたと読む恋の歌 百首

色々とあったR Kellyだから、彼が描くSexの曲を完全に聴き込むに躊躇いがあるのは事実。聴きこんでたらいつの間にかロリコンになってたとかじゃマジでシャレにならない。けど、この二曲は違う。彼の今までの人生を通じての結論は、「いつもの風景の中で一番牧歌的なこと」なんだよね。カップルの間にある牧歌的な風景って、お互いのホッペを指でつつきあってるような風景が真っ先に思い浮かぶんだけど、それよりもっと牧歌的なこと。それこそが彼がたどり着いた結論なんだよね。それに完全に同意するから、この曲がどんな曲よりも結婚式に似合うと思う。とことんSEXだけを歌っているけれど、だからこそストレートなんだと思う。流石にLooking For Loveは重すぎる。

けど、付き合う前に「私ってさ、子供につける名前はもう決めてるんだ」って言われたら、結構引くからなぁ(笑 ということで、最近はあんまり過激なことは対外的には言わないようにしています。それも社会人になって身についた知恵というものでしょうw


きっとね、彼女と体を重ねた回数が数えきれないくらいになって、殆どのシュチュエーションもして、お互いの裸も見飽きて、別れる気はさらさらないけど、ちょっとは浮気もしたいなぁ、と思う男が一番聴くべきな曲だと思う。日常のことになるにつれてどんどん感動はしなくなる。そういう風にうちらはできてる。けど、「やっぱりこいつとが一番牧歌的なんだよなぁ」と思ったら、観念しましょう(笑

だから、「この人は一体いつになったら話を切り出してくれるんだろう?」と心配な女性にもお勧めかもね。この曲をさりげなく流して、いつもよりも雰囲気が悪くなったら、見切りをつけた方がいいかもよ、とR Kellyは言っておりますw ただ、こんだけサビがSex morning, sex evening, sex noonと連呼する曲を女性から流されたら、男は凹むかもね(笑

ということで、結論

傑作曲の多い前2作の中にも、男と女が一緒に聴く曲は無かった気がする。というよりも、R Kellyは本当の意味で、これまでカップルが一緒に聴く曲は一度も作ってない気もする。これは本当の意味でカップルで聴く作品だけど、あまりにストレートすぎて流すには勇気がいるかもね♪
   
久しぶりに自分のHPの、R Kellyの部分を読み返してた。Chocolate Factoryでちゃんと書いてるね。

思うことは「セックス救済論」についてであって、河合&村上の対談集では「井戸掘り」と言っていたけど、それなんだよなぁ、、、単純に納得できないのは。

まあ、対象年齢を下げればいいと思ってるR Kellyは誰かが一発殴ればいいのだけど、男の子にいったマイケルもぶん殴っておけばいいのだけど、問題はこの答えだと思う。 R Kellyはそのキャリアの果てに見つけるのだろうか・・・問題の核心はセックスと獲得感の間の結びつきの気もしたりするが、、、心が裸になる事と物理的に裸になる事との間の差の気もするのだが、、、未だ分かってない。


確かにR Kellyはこの答えに辿りついている気がする。彼は「人に自慢したくなるSEX=獲得感」の対極として、この2曲を持ってきている。それを未だに「牧歌的」としか言えない自分自身が情けない。

以前に確か旧約聖書の解説本で読んだ。楽園にいたアダムとイブは蛇にそそのかれ、羞恥心を知って、お互いの性器を葉っぱで隠し、、、、って書いてあった。この曲はその先を伝えてると思う。お互いの性器を葉っぱで隠し、それ以来(特に男は)SEXに獲得感を感じるようになりました。これが結論なのだろう。
そんな気がした。


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