LATHUN
"fortunate"
ソリッドな黒
[2002/06/28]

表ジャケットは逆浮遊感なラッパーで、裏ジャケットの表情もイマイチで、間違っても購買意欲をそそられないのだが、内容は思った以上に凄いです。Indea.Arieとデュエットした2曲目"When Love Came In"からUPチューンでびっくり。ネオソウル新人男性というこちらの予想を、イイ意味で裏切ってくれる曲が多いと思う。

実は一緒にDonell Jonesの"Life Goes On"も買いました。けど、ごめんなさい。LATHUNの方がどれを取っても上の気がした。Donell Jones本人が今までの中で最高傑作と言っている作品を、このアルバムはあっさり超えていると思う。それに位に黒い。同じ新人のRemy ShandやGlenn Lewisと比べてもLATHUNが1番黒い。そして、この先もっと凄いアルバムを作ると思わせるだけのモノがある。

それ位に5曲目Miss Sallyはびっくりしました。まったくR Kellyの"Looking for Love"やKeith Sweatの"I'm Not Ready"並の曲だと思う。これが新人の出すレベルかよ・・・。この曲がアルバムの最深部だと思う。この振り返り方は何処かで見せ方を意識してしまうGlennより上かもね。何も無い誰もいない空間でトコトン考えていくと、、、こんな黒い手触りになると思うから。Glennはこの空間を見たことが無いだろう。その前に叫んじゃうだろう。それが若さというものだけど、じゃあ一体LATHUNは何歳なんだ??


黒の中から黒を取りだせる
光に手をかざせる人はいる。まるで周辺の光を集めて、より輝かせる人は。その逆で、黒さに手をかざして集めてるかのよう。R&B-Timeで追っかけるとそんな彼の仕草が瞼に浮かんでくる。それ位に凄い。こんなの感じたのは初めてかも・・・。処女作じゃねーよ、これは。

ということで、もちろん3名の中では1番売れないと思う。1番ファンもつかないと思う。自身の黒さを見詰め切って表現することしか眼中にないかの様で、どんなフェーズを歌ってもその黒さが低音部を支配してる。こちらに語りかけるRemyや恋愛と向き合うGlennとは違う。歌いっぷりからして力強い。もちろんRemyやGlennが力弱いという訳じゃないけれど、ジャケット写真からは想像できないレベルで歌い込んでる。

そして、7曲目Closerとか、8曲目Forever Dne fleshとか、生みだせる収録曲の幅が広いと思う。RemyやGlennよりも広いんじゃないかな。それに彼らの様に参照してる偉人の姿が浮かんでこない。それは場当たり的という意味でなく、もっと独自性を獲得している思う。それ位に収録曲全体に統一感がある。大したもんです。

タイトル曲FortunateはMaxwell風の曲。けどもっと黒い。そこがLATHUNの良さです。11曲目Didn't Iもお勧めだしね。P2S2H2としては女性から「手応えが無くてつまんない」と言われる男性は必聴。これほどお勧めのアルバムも無い気がする。同じ波紋を生みだせるようになれば、もう大丈夫っす。って、間違っても恋愛の初期フェーズで使えるアルバムじゃないよ付き合って一年経ってから必要になるアルバムかな?

ちなみに、ここで言う「黒」ってのは、一般的な黒い曲の感覚とは違います。一言でいうなら、No Vibration Blackって感じかな。Hipさはゼロです。


それにしても、中ジャケのギターを抱えて寝そべってる写真が村上春樹にそっくりなんだよなぁ。素直に言えば、3名の中でLathunが1番怖い。この作品が処女作ということに対して全く説明できない。深度はR KellyやKeith Sweatのあれらの作品に近い。けど、あれらの作品は彼らの最高傑作だから。

ということは、LATHUNはこれが最高傑作になるのか、この先をネクストレベルに行けるのか?になるのだけど、3名の中で1番2作目が期待できる。理由は全く説明できないけど、そう感じてしまう何かがある。だからなんだよね。もし彼がこの作品以上を作るなら、想像を超えるなぁ

ちなみに、最後になりましたが、「黒」とは「塗り込めた影、塗り込まれた影」だと思ってください。もちろんイイ意味です。昔、アフリカの黒檀彫刻芸術を集めたマコンデ美術館に行ったけど、あそこの彫像のような黒かな。LATHUNを誉める人もあんまりいないと思うが、彼にはこっちの方向に歩いて欲しいです。

アルバム点数はこちら
[2004/10]

上手く言えないけど、なんかLathunとR.は自分の中で近い所にある。改めて聴き直してそう思った。内向的なんだけど、突き詰めていくと黒い。けど、あのアルバムに黒さを感じる人もあんまりいないとは思う。だから本HPをみてドキドキもので?買った人には、悪い事したなぁ、、、って反省してるんだけど。

改めて聴いてみて、「汚れてる」って思った。なんか汚れてるんだよ。ピュアじゃない。って、別に貶している訳じゃないです。ただ、そのまんま汚れてる感覚なだけであって。R Kellyは当然?として、なぜLathunが汚れている感覚があるのか、それがよく分からないのだけど。ただ、あの当時にR.のDeepな曲を聴きこんでたのと、今、Laturnを聴くのは、自分の中で近いものがあるんだよなぁ。2001年の新人3人、Glenn Lewis, Remy Shand, Lathunの誰も新作を発売できてない。今年出るとか言ってた、Glenn Lewisの新作はどうなったのだろう? 結構注目してたのに。まぁLathunが新作発売できないのは当然だろう。というより、この作品をよくMotownは発売したと思う。Remy ShandやGlenn Lewisが好きという男の子は多いだろうけど、Lathunが一番好きって人がいたら、感想をBBSの方に書いて欲しかったりも。



やっぱり何の書き込みも無かった。そりゃある意味当然なんだが。結局、ぶっちゃけ本当の所を書こうと思う。昔、なんかの小説で見たんだよね。作者は誰だったかなぁ、忘れちゃった。確か東京に出てきた学生の話だった。その人は同じ年頃の好きな女性がいたのだけど、告白しても上手く行かなくて、旧吉原に行った訳ですね。その後に、その女性から「あの時は不安だったから断ったけど、やっぱり・・・」って言われたわけですね。

その時に、「うっし、俺は経験値も上がったし」って思うタイプは絶対にLathunは聴いちゃいけません。確か、その主人公は「あれ、俺は早まった?」って微妙に悩んでたんだと思う。このLathunはまさしくその姿がぴったり来る。そんな曲なんだよね、Miss Sallyは。

もうちょっと言うと、極々一部の男だけは初体験がその後の恋愛に大きな影響を及ぼす。普通は違うんだけどね。それを自分が知ったのも岩月謙司のなぜ、男は「女はバカ」と思ってしまうのかを読んだ時だった。たまたま本屋で手に取ったら、目から鱗の連続だったです。一番は「男性は不本意なSEX?があっても蚊に刺された程度ですが、女性なら毒蛇に咬まれた位に感じます」(大意は有ってるハズ)かな。そこに書いてあるように、どんな初体験であろうとも別に気にもしないのが男ってもんだけど、唯一LatunとKeithだけは拘ってるねぇ。ホント。


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