Kelly Price
"PRICELESS"
新たなフェーズに入ったKelly Price
[2003/08/02]

アルバムよりも彼女のここまでのダイエットの成功に絶賛したい。デビュー当初は周囲の「やせろ」プレッシャーを一顧だにしなかったと言うけれど、彼女自身の時が満ちたのだろう。自身で決めた後は見事にここまできた。2作目の頃は微妙に中途半端で、ビデオクリップを見てて微笑してしまったが、、、今はもう完成してるね。細面になってみたら、実はNicciと同じく攻撃的な顎だったので個人的にもポイントUPです。ジャケ写真は見せ顔が増えたが、それも許容範囲でしょう。色んな服を着てみたりと、ファッションを楽しんでるのがこちらにも伝わってきて、微笑ましいです。
そんな彼女を見て、今までダイエットに関して思ってたのを書いてみました。こちらです。まさしくKelly Priceは意志の強さで成功したと思うな。

結局、処女作であれだけのモノをつくって、かつ成功をもぎ取ったからこそだろう。やせる前にそれが必要だったのだろう。それが出来ないなら太ってる方がマシだと思ってたんじゃないかな。どれだけ表面的にやせたいと言っても、心の奥底の優先順位が違うのは、Kelly Priceだけじゃなくて、世の女性にも多く見られることだと思う。そんな意味でもKelly Priceは先導者。デビュー当初に二兎を追わなかったのが一番の成功要因かもしれないって思う。

そんな彼女だけど、デビュー曲からぶっ飛んでいたけれど、、そのDeepさは90年代女性歌手の中でも最高ランクだけど、個人的にはKelly Priceだけは方向性が違うと思ってた。

女のズルさを女自身が非難してる
"Friend of Mine"はそんな曲だと思う。Why,Whyと吼えまくる曲だけど、男性を向いてない気がしてたし、それは今でも同じかな。相談にのるフリをして彼氏に近づいて行って、上手くかっさらってた女友達に対する曲だと思うから。「あんな女ダメよ」って言う曲は多い。「あんな女に捕まるあんたもダメよ」って言う曲も多い。けど、こうやって女性が女性を非難する曲ってあんまりないと思う。男にズルさがあるように、女にもズルさがある。で、最終的には同性については非難しないっていう暗黙の不可侵条約があると思うんだよね。

そりゃ浮気男に泣いてる女性に語り掛ける曲はR&Bに多い。けど、あくまで「俺の方がナイスだぜぃ」って言う話であって、正面きって非難してない。そういうもんだよなぁ、、とは思う。けど、あの曲は違う。Whyとしか叫べてないのがそれを示してる。そんな意味では、「男・女の前に人間としてやっちゃいけないことがある」っていう態度から生まれてる曲だと感じる。そんなKelly Priceのひたむきさは好き。そうであっても(そうだからこそ?)こんな渦に巻き込まれ、Lordに向かって吼えざるを得ない。その情景も好き。

本作の前半は新たなKelly Price像に見合う曲を集めてて、後半の部分が今までのKelly Priceに近い。10:He Proposedは相変わらずのベタベタな光景で、「そんなの実際にありえねぇ」と言いたくなるのだが、彼女が歌うと妙に説得力がある。「いつか王子様に出会える」という願望も30歳越しても持ちつづけてたらやっぱり偉大だよ。それと同じの気がする。とまでは言えないが、なんて言うのかな、、、この信念の強さかな。それが、男としては「わざわざバレンタインにプロポーズするなんてクサイ」って思う気持ちまで黙らされる。このサビの"He Proposed Me"という言葉が本気で強いんだよな・・・バレンタインかどうかは横においても、この言葉の強さこそがKelly Priceだとも思う。

11:So SweetもKelly Priceらしいと感じる。曲調は全然Sweetじゃないんだよねぇ、、、ここまでSweetじゃない曲調で、Sweetと歌い上げてるのも珍しいと思う・・・結局、Sweetについて歌っている訳じゃないと感じる。女性陣はSweetにはまり込むのを是とするハズなのに、この曲はSweetを連れてきた男性を見詰めてる。だから、気持ちよりも視線が勝る曲になってるや。
14:GirlFriendこそがKelly Priceだと思う。

Kelly Priceが"女友達"というだけで根こそぎDeepになる
これこそが今までも、そしてこれからもKelly Priceが君臨していく核だと思う。この曲はやっと少し遠くから眺め始めてると感じるなぁ。15:IFも結構注目してます。16:Back in the Dayは気持ちとして攻撃的なミドル。ここら辺が本作でKelly Priceが手に入れた部分だと思う。 ということで、Kelly Priceの歩みが味わえる作品です。本作から薦めることは無いけれど、1,2作目を持ってる人には絶対にお勧めです。


謝り始めたKelly Price
6:Againだけは全く別種の曲だと思う。最近はこの曲だけを聴きこんでます。非難と、どん底と、彼女しか見れない光からアルバムは構成されていたけれど、この曲だけは今までに無い方向性。短く切り詰めた曲だけど、曲の最初が"Sorry"から始まるもんなぁ、、、色んな面で成功を勝ち取ってきた彼女だけど、こんな時期に振りかえって謝り始めた。その姿に実は一番感銘を受けてます。間違い無くKelly Priceはもっと伸びる。マイケルの"Whatever Happens"や、MaryJ.の"Seven days"と同じ感覚。哀愁感漂うギターが新たな側面をえぐりだしてるや。客演したエリック・クラプトンのおかげかな。Kelly Priceは本当の意味で何をしなくちゃいけないか分かってる。実はこの曲こそが、新たなKelly Priceだと感じる。一作目が凄すぎて、2作目は現状維持だった。けどこの曲で、自分の中でKelly Priceの位置付けがもっと上がった。

よく人は「拘り過ぎ」「振りかえりすぎ」と言うけれど、それにも正しい形と間違った形がある。ある地点を越すと過去を見詰める事が未来を見詰める事になる。もし自分がこのレベルを相手から出されたら、「あれはなんでもなかった」とそれ以上黙られるよりも嬉しい。振り下ろされた一撃ってのは、こういう締め方しかない。世の中、そんなもんです。ダイエットの完遂は一番分かりやすい形だと思う。けど、Kelly Priceが新たなフェーズに入ったのはこの曲が一番示してると思うな。

って、謝ればイイって言ってる訳じゃありません。終わった話に何度も謝っても腐るだけだから。1度だけ、完全に謝ればいい。そんな意味では、この曲はそのレベルだから、、、もしかしたらこの先、Kelly Priceは取り上げなくなるのかも、、、って、それは歌手にとっては題材の喪失を意味するとも思っちゃう。ここら辺だけは、考えても答えが見えません・・・

ただ、謝れない場所にいる人は、この曲を死ぬ気で聴けばいい
それだけは確か。そのための曲だと思うな。


補足が必要な予感大
「「いつか王子様に出会える」という願望も30歳越しても持ちつづけてたらやっぱり偉大だよ。それと同じの気がする」ってのは言葉足らずです、ハイ。願望だけなら「いい加減、現実をみつめろよぉ」って突っ込みが入るし、そこに本人の努力があるなら、やっぱり偉大だと思う。Kelly Priceの少女チックな願望には、Deepすぎる切実感と彼女自身の歩みがあるから、処女作のころから聴きこんじゃってます。
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