Keith Sweat
"Rebirth"
Rebirthで出来る事
[2004/01]

前作:didn't see me commingについて書いてた時、本作の存在を全く忘れてた。だから、この前、中古屋で見つけて冷や汗かいた。あまり誉めてる批評も見なかった本作だけど、此処まで来たら買って聴き込むしかないと思って・・・本作が発表された2002年、収録曲の最後にTwisted [Live]があって、妙に幻滅したんだよね。

Rebirthって名付けた作品に過去の自分の大ヒット曲を再録するは無しだろ・・・
didn't see me commingの次がRebirthになるのは当然だと思ってから、タイトルを知った時は期待してた。だからその分だけ聴く気になれなかった。このジャケもそう。Rebirthでグラサンかよ、、、って気分。それが自分の思い描く理想と違ってて。

自己の音楽人生が一旦完結する事があるのは、当然だと思ってる。例えば、Dave Hollisterとか。彼の歌う意味はReal Talkで一旦完結したと思うから。だから次回作は作りにくいだろうなぁって感じる。Rebirthってタイトルつけたら凄く納得しちゃう。個人的にはrebirthには「生まれ変わり」って日本語訳を当てたいが、辞書で調べると、改心・復活って意味になってる。生まれ変わるはbe born againらしい。その微妙な感覚は分らないのだが、

このタイトルでKeithは「改心」と「復活」のどちらを込めたのだろう?
このジャケをみればやっぱり復活かな。Still in the Gameによって第一線から外れていった。その自身の軌道の修正をしたかったのだろうか? けど、いくら80年代にUPの曲で売れたとしても、いくらRebirthという心意気でも、UPで復活するのは不可能だと思う。

心がけのRebirthは改心すれば可能だが、肉体のRebirthはどうやっても不可能なのだから
UPは肉体の躍動感のウエイトが高いと思うんだよね。けど、よくよく聴くと前半のUPは面白い音を使ってる。もしこれが新人の作品なら結構話題になるんじゃないかな。抑えてもほとばしる《押し気》がチャートを押し上げてくれると思うから。2:Gots to Have ITとかイケテルと思う。けど、こういうバックの音がナイスは曲を聴くと、隠し切れないボーカルでの歳が目立ってしまうと思う。このRoy "Royalty" Hamiltonは(名前を始めて聞いたけど)なかなかイイ曲を提供してると思う。3:Anything Goesや4:Ladies Nihgtとか文句なし。オーバ30のKeithの声じゃなかったら、UPの傑作になったんじゃないかな。個人的にはTashawn Kingとかが歌ってほしいかな。

この曲に見合う声をだせる若い歌手を見つけてきて、総合プロデューサの地位につけば、シーンへの影響力をかなり手に入れれると思うんだが、、90年代初期のSilkの処女作のようにさ。けど、やっぱりどうしても自分自身がRebirthしたかったんだろう。

後半のSlowは7:One on Oneから始まる。やっと音と声がマッチした世界が広がる。Keithの攻め気がいい味だしてる。やっぱりMAXでこのレベルなのだろう。それ以上のテンポの曲に合わせるのは無理なんだろう。後半のSlowは今までのKeithに無いほどにストレートに歌ってる。それも前2作ほど個人的でなく。曲の所々で叫ぶように歌い始めるけど、それが凄く新鮮。7曲目の2:35で後ろで叫んでるのはKeithだよね?今までの彼からは信じられない声の表情してるや。9:Trust Meも今までの彼には無いフェーズ。曲から誠実感が漂ってくる。 それぞれのヴァースでの入り方がいつもと全く違うんだよなぁ。前2作は売れなくなっただけの意味しかないという意見もあると思うが、ここら辺を聴くとボーカリストとして成長してると思うよ。

10:Wonderful Thangもやっぱり違う。上手く言えないけど、Still in the Game以前のKeithとも、それ以降とのKeithとも違う。Rebirthと名付けだけただけの結果になってる。この曲はナイーブさが見え隠れしてるや。だからびっくり。確かにKeithにナイーブさなんて全盛期は想像だに出来なかった。

12:Can It Beが一番かな。なんかどんどん彼の中に入っていける。本作を貫通するアクティブな感情と、深みのある音がマッチしてしてる。この曲だけは前2作の失敗の哀しみが見え隠れしてると思う。この熱い吼えっぷりは彼の人生で初だろう。なんかそれが心を打つ。この曲だけは、本作のなかで延々リピートできる。All the Worldというフレーズが凄く印象的で。

無力感が空から降ってくる中で、上を向いて叫んでるKeithがいる
だから、買って後悔しなかった。Keithに対しては特にR&Bの本流から離れた聴き方をしてるP2S2R&Bだけど、この道にもちゃんと終着点があった。そろそろやっとKeith最高傑作と言われるセルフタイトルアルバムを聴き込んだ人が書いた終着点を読む時が来たと思う。その道がどの終着点に行くのか、それは凄く知りたい。


よくよく聴くとイイ曲はあるけれど、前半のUPはいい曲になるほど歳的に売れない状況。その壁はRebirthを持ってしても超えれなかった。今後のアーティストはいくらRebirthを掲げてもこの道はやばいと思う。人がRebirthで出来る事、それは改心だけなのだと、改めて思った。14曲目でのシンプルなバックな上で吼えてるKeithはカッコいいと思う。


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