Ginuwine
"The Life"
とめどない無力感
[2003/09/26]

そこまで誉めてるレビューを見なかったから、買うつもりが無かった本作。けど中古屋で見つけたら、なんとなく買ってしまいました。やっぱりそれだけ処女作の事を気に入っていたのだと思う。特に"World is So Cold"は。「恋人に振られた日に、親友に誘われてバカ騒ぎ。日付が変わって戻ってきて、あれ、この部屋こんなに狭かったけ・・・」って、どっと襲ってくる感覚にぴったりの曲だと思うから。 それだけじゃなくて、18とか20歳の頃に、「ぁあ、この世界は冷え冷えと固まっているのか、、熱く沸騰する中に両手を入れて掴めることなんて有り得ないのか・・・」って前触れも無くふっと襲ってくる無力感に激ハマルと思うから。若い頃は押すタイプの曲ばっかりのR&Bにおいて、異色の曲だと思う。だからこそ個人的な位置付けは高い。こんなタイプの曲が増えてくれたら絶対にセレクト集間違い無しです。

そんなGinuwineの3作目が本作。本人主体のアルバムになっているのだが、皆さんがおっしゃる通り傑作では無いと思う。色気衣を脱ぎ去ってみれば、何の変哲も無かった。独り立ちしてみたら、裸だった。そんな感覚はアルバム全体に漂ってる。

けど、そこで逃げずにレコーディングした心意気は買いたい
本人も評価が下がるの分かってて発売したんだろう。ティンバランドにだっこで、自分らしさはエロ顔だけじゃねぇ。去勢した方がマシというものでしょう。そんな意味では、本作で勝負をかけたかったのが伝わってくる。1:Why Not Meの出だしから力強い歌いっぷりはナイス。アルバムの中で一番前面に出てきてる曲なのに、Ginuwineの追い込まれ具合が出てると思う。こんなMiddle-UPは好きです。特に気に入ったのは4:Differrences。自分の身分で言ってイイのか分からないが、たまらなくソウルフル。

今まで色々と無力感を味わってきたつもりだったけど、この先に山ほどの無力感が待ってるのか・・・
こんな気分にさせてくれるから。World is So Coldに繋がる曲だと思う。何故か良く分からないけど、浸ってみると辛さよりも嬉しさが勝る曲。Ginuwineが感じてる無力感がこちらを包んでくれる気がするからかな。そんな意味では、6:Tribute To A Womanも同じタイプだと思う。この切ない無力感がGinuwineの真の核だと思うな。ティンバランド達の踊り人形してる間に、無力感により磨きがかかったという事か。

なんていうのかな、、、異性関係に感じる無力感が詰まった曲はそこそこある。って、女性が歌う事は余り無いのだけど。それは基本的に女性が待ち主体だからなのかな、、、って思うけど、男性が歌う曲はそこそこある。けどGinuwineの切り出す無力感は女性色が入ってない。突き詰めるほどに、もっと違う関係性が浮かび上がってくる。だからこれだけ惹かれているのだろう。この2曲をもって本作を買ったことを後悔しなかった。これでまた、他の作品も見つけたら買っちゃうんだろうなぁ、、、

9:That's How I Get Downはティンバランドが作った事が一目瞭然な曲。5:So Fineとの差は大きい。この曲は細密画の一部分を拡大して見せられたようで、ちょっと興ざめ。デュプリがつくってUsherが歌う曲みたいだ(え、言い過ぎ? 14:Two Reasons I Cryは曲調からも伺える通り、手を前に向かって大きく広げた曲。だけどこのレベルなんだよなぁ。イイ曲なんだけどね。バックコーラスもピアノも文句無しなんだけど、このフェーズはどれだけ「潜り抜けてきたモノがある」って言えるかに掛かっているから。ティンバランドに見捨てられた後に、絶望せずに前を向けば傑作になったと思うが、予定が合わなかったというのなら、やっぱりまだまだと思っちゃう。


ということで、相も変わらないレビューですが、個人的にはGinuwineはもう1歩行けると思うな。本作でも、フッと切り取ったような感覚で、そこに落ち込んだ苦しんだ感覚が無い。この無力感のどん底で掴まえた光があるのなら、中古と言わずもちろん発売日に買います。AALIYAHには独り立ちできるモノがあった。だから、こんな手触りの曲はGinuwineの独壇場だと思うな。それだけティンバランドが凄いってことでもある。90年代を通してみても、Ginuwineにこそ突き詰めて欲しい。踊り人形の悲哀感を。


このジャケットの背表紙、片側を本の背表紙みたいにしてるじゃん・・・アルバム名も何も入ってなくて、無数の線だけが入ってる。最初に見た時は???だった。今まで何枚もCDを買ってきたけど、こんなの初めて見た。うーん、本みたいにしたかったの??
処女作は"Ginuwine..."ってピリオド重ねるし、なんか彼って、ちょっとニュアンスが人と違うんだよなぁ、、、、ここら辺と曲との結びつきは謎だけど、なんか気になってしまったです。
[2006/03]

TOURさんから教えていただきました。ありがとうございます。

Ginuwineは国内盤のライナーに書いてありました。
『100%GINUWINE』リリースの後に父親が母親の末期癌を知り自殺、それから一年くらいで母親も死んでGinuwineが一時期酒に溺れて自殺も考えたそうです。
そんな時力になってくれたのが先妻との間に生まれたエルジンJr君と婚約者のラッパーであるソレイさんで、そのどうしようもなく落ちた時期があったから『THE LIFE』のジャケがあんなだし日本版の帯に苦悩〜とか書いてあったんです。
そして「DIFARENCES」(綴り適当です)みたいな曲が生まれたみたいです。
あれは婚約者(今は結婚して二人の子供が生まれたと思います)のソレイさんに向けての歌ですから何より気持ちが出てるようにきこえました。
確か14曲目あたりに「TWO REASON」みたいな曲があったと思うのですが、あれも最初は自分の声だけで作る予定だったのが急遽トラック等を付けた感じにしたみたいです。
あの曲は父親と母親の死に直面して絶望と悲しみを歌ったんですがライナー予想ではあまりにつらすぎるので音を加えてごまかしたんじゃないかとか書かれていました。

あとMISSYの3RDに入ってる「TAKE AWAY」って曲はその頃の録音でGINUWINEの声が悲痛で、その後悲しみを乗り越えたら今度はAALIYAHの死でその直後の「TAKE AWAY」のPVのGINUWINEはかなり目が訴えていました。




HOME