dave hollister
"Real Talk"
明け方のギャングストリート
[2003/12/02]


夜も更けて、人通りが絶えてきたStreetじゃなくて、そこから明け方までいって欲しい。 青白い空が彼に1番似合ってると思う。どんな道であっても、その時が1番やさしい気がするから。

2ndの方向性は嫌いじゃない。アルバムジャケットの顔も1stに比べれば丸くなったし、"We've come too far" "Destiny"もいい。ただ、Streetに拘っても、 先に解答はあると思うな。


99年、Dave Hollisterの処女作が発売されて、Can't Stayを挟んで評価が分かれてた頃、自分は独りMissin' Youを聴き込んでた。確かにCan't Stayは良かった。けど、逆さに見ても聴き込むべきはリーバイリトルと歌ったMissin' Youだろうと思ってた。

ああ、これが彼らにとってのBlackstreetなんだ・・・
色んなゴタゴタがあって脱退したこと。別にDave達が被害者とかそういう風に思ってた訳じゃないし、あの曲を聴きこんでもそんな想いは浮かばない。ただ低い場所での慈しみがあって、場末で歌う売れない2人が醸し出す雰囲気が、あの頃のどうしようもなくぴったりきたから。底まで行くと力強さが見えてくる。そんな所にも惹かれてた。Missin' Youと歌っていても、もちろん失ったのは女性じゃない。失ったのは一つの夢。
イヤ、突き詰めて行けば、
「失った訳じゃない。けど、あの場所じゃあれ以上ものにならなかった」
そんな意志が奥底にあって、そう思ってしまう自己に対して、そう思いたがる自己に対して、、、深くて行き場が無くて何処かで優しくて、そんな、こぼれてくるような素直さが、どうしようもなく好きだった。

だからこそあそこまで聴き込んだし、マクナイトやR Kelly達と同じ位に核に触れた実感があった。もちろんHPを作り始めたら、絶対にDaveの事は書くと決めてた。けど、出来あがったのは随分とDaveにキツイ内容になった。別にそんな2作目をネガティブに思っていた訳じゃない。
ただ、

人は絶対にもう1歩いける
と思ってた。いや・・・本当の事を言えば、再び歩くDaveの姿を見たかった。そしたら僕も再び歩く勇気が沸いてくる。それだけなのに、あんな風に書いた自分は凄く幼かった。「もう少し陶冶が必要かな?」にMAXで出てる。自分のネガティブ。 だからBefore I Let You Goであれだけ惹かれたDaveにでさえ、あのトーンで書いていた。ホントの事を言うと、あの時、Daveが此処に来るとは思ってなかった。それがどれだけ大変かは自分の立場でも想像ついたから。

最初の2曲は普通に流してたんだけど、3曲目でノックアウト。3作目で開花した熱いフレージングがGhettoに向けて全開になってる。Donny Hathawayの曲を聴いた時もこんな感覚だったなぁ、、、って久々に思ってた。勝手に涙が流れてくる曲ってある。Ghettoを歌う人は多いけど、この曲はTOPレベルでしょう。"never gonna change"という現実を見据えた視線だからこそ、これだけの情熱になったんだろう。Daveのコーラスワークはホントに独自性を手に入れてる。ソロアーティストでバックと独自の味を出せるのは、Carl Thomasと久保田ぐらいだと今まで思ってたけど、このアルバムでは同じだけの一体感が包んでる。

ああ、もうDaveは独りぼっちじゃないんだ
って凄く嬉しくなってきた。1stのMissin' Youの時点で周囲に理解されない面を感じてたから。4曲目はDaveにしては早口な曲で、ちょっと以外。歌詞カードが無いから厳密な歌詞は分からないけど、曲の最初からDave本人の物語が始める。処女作ヘのコメントで「夢を抱いてニューヨークに来ても、最初は路上で寝泊りを余儀なくされたというけれど、その自身の感情を歌って欲しかった」と書いたけど、この曲をずっと求めてた。この曲での優しさがDaveの努力を伝えてる。

そこからはホント傑作曲揃い。5:real talkは一転して切ない曲。アルバムタイトルに選ばれた曲だけど、2,3作目は全体的に2人を意識させる曲が多かった。この曲ではそれがGhettoまで広がってる。 6:reason with you bodyは一転明るい曲。こんなアホタイトルがくるなんてR&B最高!!と思っちまうぞw 「かもーん」って連呼する曲なのに、普通から見ると切ない。そこがたまらない。7:曲目は前面に出て来た曲。本作の中ではミドルの位置付けで、かっこよさが出てる。

10:almostの手触りとかホントDaveの全作に一貫してる。本作でも結構Tankが曲を提供してるけど、ライバル視されることもあるけど、ウマが合うのかな。最後の12:pleased tonightの歌い込みが最高です。このサビの高みと輝きはかなりのレベルだと思う。

素直に言えばこのジャケを見たときは明け方の青白い空を表現してると分からなかった。CD自体も青白いんだけどね(汗 早朝の空はもっと光の粒子が見えるような雰囲気になる。聴き込んだ後で眺めると、それがGhettoなのかもしれないと、ふっと感じた。

色々と書いてるけど、もちろん2,3作目も好きだよ。特にWe've Come Too FarとWhat Should I Sayは。1年前はこう歌っていたけど、本作での傑作度数を見るとDaveは答えを見つけたのだろう。そして、それはやっぱりReal Talkなのだろう。3作目ではWhat Should I Sayの次にI'm Wrongがくる。叫んだ瞬間に自身の愚かさに気づいて謝る。そんな流れがめちゃくちゃ好きだった。けど、それはやっぱり答えじゃないよね。謝る位じゃ反射的に出てしまう叫びは無くならないから。それは相手の女性が一番気づいていると思う。

I just wanna be with you. I wanna be your man, Cause I hope you understand
自分の聞き取り能力なので、全然保証できないのだけど、5:Real Talkのサビはこんな詞だと思う。What Should I Sayと叫んで、I 'm wrongと謝った後の、真の答えは「君のことをもっとちゃんと受けとめたい」だと思うから。理解されない事に対して叫んでも、叫ぶほどに答えから遠ざかってた。Daveにはもっともっと楽な道もあったのに、彼はいつだってストリートに拘ってた。それが色んな波紋を生んでいたけど、この3曲を流して聴くと本当に諭される。

本作が皆様にどれだけのモノを訴えれるのか分からない。けど、Missing Youに惹かれて、We've Come Too Farに共感し、What Should I Sayに「こんな叫びをずっと歌って欲しかった」と感じた人は、聴き込むだけのものがあると思う。それだけは断言できるよ。

What Should I Sayと歌うDaveと同じ愚かさを持った男ほど、このReal Talkを聴いて欲しい。それだけです。
あの時、処女作の向こうに「青白い空」を垣間見たのに、その先にいけなかった。個人的にはその事実が一番辛かったです。アホが傑作を聴き込むとこんなんばっかりです。
アルバム点数はこちら


HOME