Big Jim
"Commitment Episode 1"
不遇な境遇で光る《歌手魂》
[2003/03/17]

[Commitment Episode 1]というタイトルに気合いと意地を感じる。アルバムを届けることがCommitmentと言い切る強さと態度は大好きです。去年の冬に発売するのハズが、延期を重ねて今年の夏になってしまったが、、、発売まで出来てホントによかった。けど、このジャケットは手放しで誉めれないと思っちゃう。メジャーレーベルのアーティストがマーケット志向の曲があるように、インディーレーベルのアーティストはどうしても自己憐憫が見え隠れするから。特に才能があるアーティストほど・・・。Big JimはIII from the Soulのリードとしてコアな人達からTOPクラスのアーティストとして認められてた。彼らの処女作は、太い声で吼えまくる前半のUPと後半の怒濤のバラードからなる傑作だったから。

そんな彼らだけど、メジャーデビューになる二作目は日本盤だけで、本国では発売されなかった。グループとしてもJodeci並だったし、歌手としてもGerald並だったのにね・・・ だけどメジャーにはなれなかった。 そんな不遇さはこのジャケの顔つきからも伺える。中ジャケにはもっと出てると思う。行き場の無いやるせなさが、グラサンの奥の鋭い視線に表れてるから。 この服装もそう。冬発売予定だったからこその厚着とも言えるけど、個人的には甘えの象徴だと思うな。それはR Kellyの白ゴリラジャケにも同様に感じる。
そんな意味では、このジャケットで手が伸びなくなる人も多いと思う。けど、III from the Soulファンの全員の気持ちに染み込むジャケだと思う。こんな形になるほどに、彼は才能があって、かつ不遇な境遇だったのだから。

だけれども、アルバム内の曲は全部引き締まっていて、憐憫の感覚は何処からも感じない。低いトーンで一本気にまとまってる。自己憐憫を極限まで突き詰めたTommy Simsのアルバムも大好きだが、本作は歌い始めたら、そんな面を振り切る歌手魂がつまってて、、、たまらない。

1:Without Your Loveから男気を感じさせる曲になってる。そんな面では去年のWoodyのアルバムに近い感覚。だたBig Jimの方が声が太くて能力が高い分だけ、より声に浸れるなぁ。太い声が作る幅の中に、男気から憐憫までのグラデーションが作り込まれてて、、、ぐいぐい引っ張られる。2:Big Manも同じくMiddle-Slowテンポの曲。バックトラックも練られていて、曲のレベルも高く仕上がってるアルバムだと思う。3:Centainly Girlもfeat OLE-Eで(すみません彼女は知りません)女声が映える曲だしね。

Commitmentを立てて、それを守り抜くこと
これこそが人生で必要なのだろう。もちろん組織としても。それは日産のゴーンを見てれば一目瞭然だよネ。そんな意味でも10:Commitmentが一番深いかな。思った以上にスローテンポで哀しみの多い曲。このCommitmentを守る為に費やした重さを感じさせるのが凄くイイ。このCommitmentはやっぱり恋愛でも必要なんじゃないかな。

男の価値なんて、どれだけ恋愛初期の約束を守れるか
だと思うから。そんな意味では、仕事の不遇さを抱えてる人以外にも伝わるアルバムだと思うよ。今回がこれだけの傑作なら、ぜひ二作目も作ってほしいです。

III from the Soulの二作目でのBig JimはGeraldに似すぎていたと思う。Gerald自身が曲を提供してたこともあって、どうしても独自性が弱かったと思う。だけど、本作でのBig Jimの声の表情はホントにナイス。彼並に太い声の歌手は数名いるけれど、このグラデーションは彼だけの特徴だと思う。
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