Brian Mcknight
"U Turn"
もう此処しか残ってないのか・・・
[2003/04/05]

前作:Superheroは自他共に認める「ネクストレベルに進むためのステップ」だった。けど、マクナイトが人生の折り返し地点を通ってたどり着いた場所はここなんだね。確かにSuperheroが発売される前から色々と心配してた。それらについてはこちらに書いたけど、不安は的中したという事か・・・

Babyfaceと差が無くなったマクナイト
これはマクナイト&Not_Babyfaceファンにとっては死刑宣告みたいなもんだよ。確かに今、Babyfaceは新作を作れないだろう。あのフェーズじゃどれだけ曲に関して才能があっても、アルバム3枚以上はもたないと思ってた。だから、それ以上にアルバムを届けてくれたBabyfaceはホントに凄いと思う。けど、やっぱり収束しちゃうんだよね。曲の良さだけでは時代を超える事は出来ないのだから。
そんな点において、処女作においてのマクナイトは時代を超える何かがあった。それにどうしようもなく惹かれて今日になっている訳だけど、、、もう人は瑞々しい二十歳直前まで戻れないと言う事か。

「今、POPSとR&Bの両方の分野にまたがって、本当の意味で成功しているのは自分とR Kellyだけだ」と言っていたマクナイト。両者とも最初の頃なんて、「絶対売れない」「エロすぎる」で、大丈夫なのか・・・って心配してたのにね。けど、確かにこのどんどんこの通りになっていってる。そして2003年の両者の新作となった訳だけど、ずっと心の奥底で心配してた、マクナイトの弱さが明確に出る形となってしまった・・・

どん底を乗り越えたら、其処は豊穣な大地になる
これこそがR&BそしてSoulの核だと思うから。きっとMaryJ.はこれを痛感しているんじゃないかな。今の彼女にとっては、明らかに意味を生める大地になってるよ。他の黒人より恵まれたスタート地点から、どんどん突き詰めていったマクナイトは、やっぱり抱えている痛みが少ない。以前からそう思っていたし、今でもそう思う。そこが曲作りの才能としては両者差が無く、声としても、ポジションとして上回っていたマクナイトが、、、R Kellyに絶対に勝てない点だと思っていたから。

新作において、R Kellyはその底からイイ意味を取り出し始めてる。それは彼にとって初めてのことだと思う。今までは、「だから俺はどうしようもない男で、おまえのことを忘れれない」っていう後悔に満ちたフェーズ以外の名曲が無かったからなぁ。 マクナイトはそんな女性が納得してしまうような痛みが無い。だから本作はファン以外に薦めれない作品になっている。このフェーズのアルバムならば、Babyfaceの"the Day"を薦めるよ、彼の傑作アルバムなんだから。

1曲目のAll Night Longの時点で終わりでしょう。処女作との差は天地というよりも、小石と星ぐらいだよ。だけれども、同性は聴く必要がないと思う甘甘な2作目と違って、本作は奥底での苦悩に満ちてる。

ああ、マクナイトにはもう此処しか残ってないのか・・・
これだけは痛いほどに伝わってくるや。だから、聴いて欲しいアルバムです。特に処女作を好きな人ほど。これが人生の結論か・・・。この結論はこの先のR&Bアーティストがどうしても向かい合っていくものなんだと思う。それが時代の移り変わりか・・・ よく分からないよ。この自分じゃ、これに関してこれ以上の結論は出せないよ。


痛みを含んだ声が、寛ぎを生み出してる
そんな姿には、確かに惹かれる。以前は、《別れの痛み》だったけど、だからこその3作目のcouldだった訳だけど、、、今は《そこしか残ってない痛み》か・・・2曲目:Back Seatから、そんな声の表情。以前は、鬼のように突き詰めれたのにね、その道はもう残ってないんだね。他の人がプロデュースした3:Shuoulda,Woulda,Couldaだけは今のマクナイトの苦悩から開放されてる。だから光に満ちていて、本作の中で一番いい。これを自身で素直に出せないのが、作り上げてきたアーティスト像の縛りというものか・・・



もっともっと単純に切り取ってみる。ここまで言うと色々と軋轢があるかもしれないけど、これはある面の事実だと思ってた。

女性の愚痴を聞くかどうか
これが男への踏絵だと思うんだよね。BabyfaceやJoeは女性の隣に行って愚痴を聞くと思う。けど、マクナイトは絶対にそうしない。女性もマクナイトには求めてないと思う。若い頃から、マクナイトは後姿で惹きつけようとしてたし、だからこそ自分もその後姿に憧れた「純粋に自分もああなりたい」って。それは皆が思っているほど、不可思議な選択ではないと思う。けど、それも此処までっていうことか・・・。

男の愚痴は犬も食べないと思うけど、女の愚痴は同性内で処理して欲しいとまでマクナイトが思ってた分からないが、それ位なら彼は独りで手応えを探しに行ってたのは事実。そりゃ女性が泣いているなら、すぐにでも飛んでいくのは必要不可欠な男の定めだと思う。けど、愚痴はスタンスに任されていると思うんだよね。そもそも女性の「側に来て欲しい&夢を追っかけてほしい」は両立しないと思っちゃったりもするからなぁ。この達観が持てないと、「君だけは特別だ」って言われて、傷つくことになると思ったりもする。


マクナイトは突き詰めるモノを失ってしまった。その事実は正しいと思う。だから、マクナイトは側に行こうとしてる。今までは舞踏会でちょっとだけ話しかけにくる雰囲気だったのにね。って、こんな視点から眺める俺っちはオカシイのかな? けど12曲目を連続リピートするたびに実感として沸いてくる。

彼がそんなタイプであるのは、今まで一度も正面顔のジャケットがない事実が明白に示していると思う。そして今回も俯き顔。裏ジャケは苦悩と痛みが良く出てる。CD奥のジャケットは、たしかにStevieに倣っていると思う。上を見てるが光は見えないか・・・自分からグラサンしてるもんなぁ・・・ もしこの先、マクナイトがセルフタイトル&最高の正面顔ジャケットのアルバムを作るなら、そんな作品は本気で聴いてみたい。

R&B男性ソロシンガーの頂点に立ったマクナイトとR Kellyだけど、2003年の新作は、意味に勝るR Kellyの方が良作だった。この先のマクナイトが楽しみです。
うーん、やっぱり一段落して、マクナイトとR Kellyの新作の差は大きいと思うな。個人的にはマクナイトにMaryJ.の新作のプロデュースをして欲しかった。そしたら両者にとってイイ影響になると思うし、R&Bの大事件だよ。 他人をプロデュースすることで見えてくるモノもあるのに、あんまりそこら辺を苦手としてるのか、今までまともにしてない。そりゃ自身のレーベル作って女性アーティストを出した日には、ショックとまではいかないが驚いちゃう (イヤ、ある意味安心するかなw

 R&Bの勢力分布にはとことん疎いですが、これが自分の想定するBESTな方法です。新作の7曲目でCarl Thomas,Tyrese,TANKを引きつれて、全員をマクナイト世界観に連れてきて君臨してるが、そこまでのアーティストになったんだなぁ・・・ってこちらも感慨深いのだけど、その方向性に先はないと思っちゃう。


えーー、マクナイトって離婚してたの??この前のコンサートでそう言ったんだって? 今さっき教えてもらいました。し、しらなかった・・・・・ってことは俺っちはずいぶんと失礼なことを言ってたわけね。まあそれはいつもなんだが・・・それを聞いた後じゃ、アルバムの聴き方が良くも悪くも変わってきてしまうんだが・・・・もし今後書き換えたら、ごめんなさい。 
・・・けどさ、新作に処女作ほどの痛みはないと思うんだよな・・・ってことは出せないってことか・・・そりゃそうかもなぁ。二十歳の恋愛が終わったのとは訳が違う。
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