2006 作品紹介



遅れましたが07年の同じ形式で06年の作品の感想を書いておきます。2007はこちら
Shai -- "Love Cycle"

JB -- "LIVE...LOVE...LIFE"

Brian Mcknigt-- "TEN"

[2008/02]
「傑作ではないが、いい意味での大人の男を感じる」
見るからに太ったジャケ写真は横に置いておいて。前作のGEMINIと比べると悲しみと光がなくなり、こちらがハッとする瞬間がない。けど、重くなく聴けるのは確か。傑作ではないが、次回作のつなぎとしては手堅い作り。ある意味、こういう作品が作れるのが、息の長い歌手としての才能のかもしれない。

マクナイト調もリスナーに飽きられてないしね。そこら辺がBabyfaceとの差なのかもしれない。「曲を提供すると、才能の枯渇が早くなる」。これが現状の回答だと思う。結果として、他人へのプロデュースを殆どしなかったマクナイトの方がBabyfaceよりも長い寿命を保っている。

02:Comfortableはイイ曲。前作よりも確かにComfortableな雰囲気を達成してる。そんな意味ではちゃんと前に歩いているからこその、聴きやすさなのだろう。03:Find Myself In Youも同じように前作からの歩みを感じる。だから、本作をネガティブに思っている訳ではないです。ファンなら買うべき作品だし、Deepから聴き始めるタイプじゃない人には、GEMINIより入口として適していると思う。R&Bの「あ」の字も知らない30歳以上の男性には、一番薦めれるかもね。というより、彼以外の歌手がまともな作品を発表できてないのだから。GeraldのIN MY SONGSもいいけど、始めて聴くには傑作過ぎる気がする。

06:A Little Too Lateは本作の中では悲しみが見える曲。けど、普通の人でも聴けるレベルをKeepしてる。
そんなのを見ると、

「大人だねぇ」ってしみじみと思う。

こんな距離感で表現できるようになるのが、本当の大人の男なんだろうな。
そんな意味では、GEMINIよりもゆったりとした大人の雰囲気を感じる作品です。


08:Shoulda Been Lovin' Youは前作でのCome Backの焼き直し、と言いたい所だけど、そこまでネガティブに思っている訳でない。あの作品で見つけた鉱脈を、今回の雰囲気の中で掘り下げてる。個人的には聴き始めたら逃げれないCome Backの方が好きだが、本曲の方が対象層は広い。

11:Can't Leave You Aloneもイイ曲だと思う。バックの掛け声が非常にいいバランスで入ってる。普通は行き過ぎるのにね。GEMINIは特別な日に聴いて、普段は本作を聴くぐらいの距離感がいいのだろう。もちろん特別ってのはイイ意味では無いです。今日が奥さんと別れてちょうど一年目。そんな悲しみの記念日にこそGEMINIは良く似合う。

悲しみの記念日を持てる人が・・・いや、正確に言うと、普段の前向きな姿勢&悲しみの記念日を持てる人が一番、魅力的なのかもしれない。GEMINIと本作を聴いていたら、ふっと感じた。

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アルバム全体として、2作目のI Remeber Youに近い。けど、両者を比べると、本作の方が上だと思う。いい男ってのは、こうやって歳を重ねていくのだろう。I Doとか、マクナイトらしい曲だしね。13:Rest Of My Lifeもそうだね。そんな意味では緑をつけたくなるような曲はないけど、全体として手堅くまとまってて好感が持てる。

奥さんが去っていったりと、人生は色々生じるけど、破綻してたU Turnを潜り抜けて、その先のGEMINIのように光を見つけて、そして、本作のような距離感になる。本作を聴きこんで、マクナイトは偉大な歌手だと、改めて実感できる事が出来た。点数をつけても高くはならないが、こういうポジションの作品がどうしようもなく駄作になって、次に続かない歌手を山のように見てきたから。マクナイトは違うね。何よりも、大人になった後の、、正しい距離感を教えてくれる。

中学生の頃からずっと、憧れであり、追っかける対象だったマクナイト。
今でもその点は何一つ変わってない。

Mario Vazquez -- "Mario Vazquez"

[2008/02]
「内向的な手触りから始まるが、後半は息切れしているような・・・中間点を狙った作品なら良作」
Mario以降のメジャーな新人男性歌手で唯一買ったのがこのMrio Vazquezです。ジャケの写真から内向的だと思ったんだよね。この歳の当然としての格好つけたショットだけど、伏目がちなスタンスに内向性を感じる。試聴してみたら01:Galleyがかなり良かったし、02:I Betも明るさが出ていてナイス。だから買ったんだけど、家に帰ってゆっくり聴くと、後半につれて息切れしてると感じる。同世代の男性から見ると凄くいいラインを押さえてると思うけど、今の自分の立場から見ると、どうしても過去の作品と比較してあれこれ思ってしまう。。

04:One Shotはいい出来です。このアルバムの中で一番本人の核が出てると思うな。シングルカットされるタイプの曲じゃないけど、こういう曲を気に入った人は、本気のファンになれると思う。05:We Gon' Lastもそうだね。こんな手触りは個人的にも親和性がある。自分も二十歳前はこんなタイプでありたかった。けど、振り返ってみると現実は違ってた。そんな結論が浮かんでくる位に、この2曲は惹かれているのかもしれない。

内向さと才能ではCaselyの方が上だけど、女性にもてるのはMario Vazquezと思う。母性本能をくすぐるような不完全さがあって、本人もそこにつまづいている感覚がある。それがこちらの心がすべりこむスペースを作るのかもしれない。

コメントカードには、アメリカンアイドルで3位まで行って辞退したとか、マイケルのInvincibleでも客演したとか書いてあった。そんな行動を選ぶタイプなのは、このアルバムの前半で120%表現されていると思う。個人的には後半部分でもっと突き詰めていって欲しかったけど、アルバムとしては逆の方向性なんだよね。けど、作品を売ることを考えると、間違ってないのも確かか。09:4 the 1や10:EaveryTime I..こそ.が内向性の香りがする売れる線なのだろう。11:How We Do Itの歌いっぷりを聴いてると、彼自身にとってもこれが素直な方向性なのだろう。12:She Got Meを聴いても思う。だからそんなにネガティブに思っている訳じゃないです。

それよりも、こんなスタンスでしか聴けない自分自身がもどかしい。歌手本人と同じ世代なら後半部分も素直に共有できたと思うから。そんな意味では、もしそういう立場の人の男の子が買っているなら、ガンガンに聴いて欲しいと思います。自分自身の不器用さを、狙ってないのに上手に出せる男性になると思う。これが身につくと、かなり恋愛でトクできると思います。


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